二日目

移動距離が長いため6時過ぎに起床。
いわゆる旅館系の朝ごはんをいただき、僕だけ朝風呂
に入り、出発。
昨日雨のため行けなかった熊野古道の入り口を探しに
行った。
幸い近くに趣のある場所があるとの事だったので、
向かうとそこは誰もいない神秘的な古道の途中だった。
本当に誰もいなくて、鳥の鳴き声と遠くのせせらぎの
音だけが聞こえて、目の前に数百年前に賑わっていた
道がある。
とても神妙な気持ちになれた。
その後一路那智の滝へ。途中の風景の雄大さには心底
驚かされた。
行った事はないが、中国の内陸部の川のようなスケール
の大きな風景だった。
那智の滝もしかり。
少し渇水気味との事だったけど、見上げる空から降って
くるような滝のスケールはやはり圧倒的だった。
紀伊勝浦でレンタカーを返却。
ここから紀勢線に乗り、のんびり鳥羽へ。
紀伊勝浦駅近くで足湯に入りながら地元のおばあちゃん
とのんびりお話など。かみさんのお腹見るとみんな話し
かけてくる。
秋刀魚の押寿司を買って、ビールも買って電化されてい
ない単線のディーゼル車に揺られながら、ほとんど誰も
いない海辺を3時間近くかけて移動してたら、そのまま
どこか遠い国に行ってしまうような、少し寂しい様な
気持ちになった。
乗り換えは「多気」という本当に小さな小さなローカル
駅で、ここからまた単線で鳥羽に向かう。
10分ほど待って来た列車(電車ではない)は、何と一両
編成。地元の高校生とかおじいちゃんとかと一緒にのん
びり鳥羽まで20分。
と思ったら伊勢市で止まった。
次の列車(電車ではない)が来るまで40分。
それまで発車しないとの事。
そこで翌日行こうと思っていた伊勢神宮に行く事にした。
伊勢神宮は内宮と外宮があり、6km程度の隔たりがある。
正式には外宮→内宮の順でお参りするのだが、時間が
ないので内宮のみに行く事に。
タクシー乗って約5分で内宮到着。
さすがは1000年を超える歴史のある社だけに、もの凄い
存在感だった。
参道脇には樹齢1000年を超えると言われる杉の大木が何本
も羅列していて、樹高も見上げてもどれくらいの高さなの
か分からないほど。
本宮は、参道や他の各施設からするとあっけないほどに小
さな苔むした社だった。
それがかえって趣きがあり、神聖な空気を醸し出していて、
思わず固く目をつぶって御願い事をしてしまった(笑)
その後またタクシーに乗って伊勢市駅へ。
本当はおかげ横丁(鎌倉の小町通りみたいなお土産通り)
とか寄りたかったんだけど、鳥羽に宿からのお迎えを予約
していたので断念。
鳥羽はさすがに観光地だった。
駅まで来てくれていた迎えのマイクロバスに乗って2日目
の宿の「芭新萃」へ。
実はここには期待大だった。
JTBで予約する際に今までここに泊まった人のアンケート
結果は設備、食事等の各項目で最高レベルの評価を得て
いたし、じゃらんでも高評価。
客室に露天風呂が付いている部屋もある。
というか付いている部屋を予約した。
http://www.hanashinsui.co.jp/
果たして到着後の入り口からして前日の宿とは大違いだ
った。
案内された部屋は・・・
絶句だった。
和室の外に露天風呂があり、その向こう遠くに鳥羽の海が
一望できた。
夕日が落ちていくのをかみさんと何十分もボーっと見ていた。
JR西日本のCMで竹内結子が「おだやかだなぁ」ってつぶやき
ながら見ていた風景の様な本当に穏やかで形容しがたい美しさ
だった。
どちらからともなく「ありがとう」と素直に言えた。
あの風景、多分一生忘れないと思う。
僕とかみさんは18才で付き合ってからそれこそ何十回も夕日を
一緒に見てると思うけど、あの夕日は忘れないと思う。
晩御飯はこれまた絶句。
伊勢海老、アワビ、サザエ、マグロ、鯛、太刀魚、ミル貝、
鳥貝・・・
ほとんど泣き出しそうになりながらお酒をチビリチビリ飲み
ながら食べた(笑)
伊勢海老って東京を始め、何回か食べた事あるけど圧倒的に
味が違うものだった。
生きているのをさばいて食べるのが美味いのではなく、さっき
まで海にいたのをさばいて食べるのが美味いという事。
地元の人にとっては当然の事かも知れないけど、この違いが
はっきりと分かる美味さだった。
夜はこれまた10時過ぎにバタンキュー。