今日われ生きてあり

ある記事を読んで興味を持って購入した「今日われ生きてあり」という本。今週の通勤中読みながら何度も人目をはばからず涙ぐんでしまった。特攻隊隊員の手記を中心に、彼らが出撃までの時間をどの様な思いで過ごし、周りの人々がどのように関わっていたのかが紹介されている。20歳そこそこという年齢にも驚かされるんだけど、彼らの贅肉を削ぎきった感性というか思いというか、それこそ出撃命令=死の宣告を受けてから出撃までの間に記された思いというのは、凄まじい勢いで胸に迫ってきた。もちろん時局から、「皇国」とか「御国」といった言葉もあるんだけど、多くは愛する家族、恋人に宛てられた心底からの言葉であり思いやり。数時間後に、全く健康体の自分が、戦果と言っても戦局の中では圧倒的に微々たるものと分かっていながらその運命を受け入れ、ギリギリの瞬間まで愛する人への思いやりを持って、すがすがしい笑顔を見せる。なんてことだろう・・・僕は決してナショナリズムに高揚しているわけでも、右よりの考えに感化されているわけでも、大戦のノスタルジーに浸っているわけでもなく、特攻という形を美化するわけでもなく、ただただ彼らの精神に完膚なきまでに叩きのめされている。僕は人生最後の瞬間に、あれだけの、真摯な思いを愛する人に伝えることができるだろうか。人間として最後の最後に最も成長した状態で人生を終えることができるだろうか。読み終わって今とても家族に会いたいと思った。