福岡旅行

7年振りに福岡に行った。
前回はかみさんを連れて、親戚に結婚の挨拶周り。
結婚式自体は両家の家族だけでサイパンに行ったので
、親戚には挨拶回りをした。
で、今回は、デビを曾祖母(つまり僕の母方の祖母)
に会わせる事と、昨年亡くなった父方の祖母のお墓参
り。
デビにとっては初めての飛行機だったので、結構親の
ほうが緊張してしまったけど、離陸時も「ブイ〜ン」
とか真似してるし、水平飛行に入る前に寝てしまった
(笑)
空港には叔母が迎えに来てくれていて、久しぶりの再会。
すぐに車で祖母の入っているケアセンタに向かった。
事前に、祖母のボケが進んでいて、多分僕らを認識で
きないと思う、との連絡は受けていたため、覚悟は決
めていたものの、やっぱりかなりショック受けるんだ
ろうなぁ、とボンヤリ思いながら。
7年振りに再会した祖母は・・・元気そうだった。
ボケは情報通りで、僕らのことを認識してもらえなか
ったけど、顔色も良いし、センターもかなり設備も整
って、職員の人たちもとても気持ちの良い人達だった。
ボケてるとは言え、ハキハキと良く話し、特にデビの
事をかわいいかわいい、と言って良く相手してくれた。
デビも人見知りするわけでもなく、握られるままに手
を握っていたし、途中からは完全にリラックスして祖
母の足に寄っかかったりで、明るい雰囲気のまま祖母
にさよならできた。
その夜は、叔父、叔母、それに実に15年振りに再会す
る従兄弟達を含めて、天神から程近い「金魚」という
モツ鍋屋で、美味しいモツ鍋をご馳走になった。
従兄弟達は大きくなっていて、上の女の子は銀行に、
下の男の子は今年から大手印刷会社に就職が決まった
との事。
昔、ドッチボール教えてあげて、夕飯には僕の膝に乗
ってきたあの姉弟がねぇ、と感慨ひとしおだった。
その夜の宿泊は、重要文化財に指定されているという
大正ロマン溢れる激安旅館。
何と、親子3人で一泊朝食付きで8400円!!
櫛田神社のすぐ近くという一等地にありながら、閑静
な佇まいに、到着した僕もかみさんも「お〜!!」と
歓声を上げたまでは良かったものの・・・
建物も雰囲気タップリ、従業員のみなさんも古きよき
日本旅館の面影を残していたし、迷路のような館内も、
修学旅行を思い出させる感じでワクワクしたんだけど、
何せ古い建物なので、声が筒抜け。
夜、床に入ると周りの声が聞こえる聞こえる。
1階で情報交換している欧米系のグループ、夜泣きが止
まない二つ隣のうちと同じ家族構成の一家・・・
デビはすぐに寝てくれたけど、僕とかみさんは0時まで
悶々として過ごした。
そのうち、下の外人さんもいなくなり、夜泣きが終わっ
たと思ったら、三つ隣の部屋から大きな韓国語が・・・
1時くらいまではそれでも我慢していたけど、翌日の事
とか考えると早く寝たい。
1時過ぎに我慢できなくなってフロントに向かったが、
既にフロントは真っ暗闇でモヌケの殻。
う〜ん、どうしたものかと、さっきまで外人さん達が
集っていたフロント前のソファーに一時座り、意を決し
て大きな韓国語が溢れる部屋に向かった。
苦情を言いに行くのに「アンニョンハシムニカ」っての
も弱弱しいし、あれ?今晩はもアンニョンハシムニカな
のか?とか、いきなり怒っても角が立つだけだし、とか
あれこれ考えながら、ギシギシ言う床を歩いて行った。
結構緊張気味にドアをコンコンと叩くと、「ウェイ?」
との太い男性の声。
「ウェイ」って何だよ〜!!とか思いながら、こっちも
可能な限り低い声で「すいません」と言うと、女性の声
が「あ、はい」と。
「静かにしてください」と言うと、「あ、すいません」
との事。
ホッとして自分の部屋に戻る途中、よくよく考えたら何
だか可笑しくなってしまった。
最初から「はい」と答えろっつうの(笑)
部屋に戻り、1時半にようやく眠れた。
翌日は、チェックアウト後、櫛田神社にお参りに行き、
「ここで追い山が周るんだ〜」とか思いながら、山笠を
担げない(福岡では「山をかく」と言う)のが何となく
悔しく、福岡の男性に嫉妬に近い感情が出てきたのが
不思議だった。
その後、西鉄とタクシーを乗り継いでお墓参り。
お墓に来たのは祖父が亡くなって以来だったので、10年
振り。
デビも神妙な顔をして「なむなむ」と手を合わせてくれ
た。
お墓の近くで待っていてくれたタクシーに乗り込んだ瞬
間に、かみさんが「ホッとした」と言ったのが印象的だ
った。
そう、確かにホッとした。
不思議なもんだなぁ、と思う。
普段思い起こすことが少なく、両親も完全に生活の基盤
が東京になっているので、福岡のこのお墓が自分に繋が
っている感覚は非常に希薄だった。
なのに、お墓参りするとホッとするとはなぁ。
お墓参りの後、小さい頃から祖父に「ラーメン食べに行
くよ」と言われていつも連れて来てもらっていた「元祖
浜屋」に行った。
7年ぶりの味に、僕もかみさんも、そしてデビも大感激。
やっぱり一味も二味も違うと思う。
デビが「チュルチュル!」といって嬉しそうに口の周り
を油まみれにして食べていたのが印象的だった。
店を出て、タクシーで港へ。
船で志賀島に渡った。
デビは始めての船にかなりビビッてた(笑)
船内に入ると、リビングルームみたいで全然船に乗った
感じがしないので、後部の甲板に出ると、エンジンの
轟音と、すぐそこで立つ波が結構迫力があった。
天気が良くて、福岡ドームとか福岡タワーが綺麗に見え
た。
昨年3人の子供が飲酒運転の犠牲になった橋も見えたの
で、合掌した。
志賀島に着いて、超ローカルなバス停でバスを待ち、整
理券を取るタイプのバスに乗車。
島の先端までのんびりバスの旅を楽しんだ。
9月の平日の天気の良い午後で、乗客は僕達とおばあちゃ
んが一人だけ。
対馬に向かう大きなフェリーが段々遠ざかる様子や、底
の石が丸見えな綺麗な海を眺めながら。
道の途中には、「漢委奴国王」と刻印のある金印が見つ
かった場所や、元寇で亡くなった蒙古兵を祀った「蒙古
塚」があり、日本史に関する記憶の歯車がカタカタと頭
の中で回ってた。
終点の一つ手前のバス停で降り、着いたのが国民休暇村
楽天トラベルには「全ての部屋がオーシャンビュー」と
あった
が、まさにその通り!!
白砂青松とは大げさかもしれないけど、鎌倉の由比ガ浜
なんかでも「お〜海だ〜!」と感激するような生活環境
にいる僕らからすると、本当に夢のような絵にかいたよう
な日本の海浜だった。
15時にチェックインし、デビの疲れが気になったので17
時近くまで、部屋でゴロゴロした。
17時前にみんなで海に出て、貝を拾ったり、うちのメダ
カの水槽用に綺麗な小石を拾ったり。
デビは波打ち際までは来るものの、波が来ると泣いて怖
がって逃げてた(笑)
僕もかみさんも水着を持ってこなかった事を後悔し、ジ
ーパンを膝までまくって濡れるのも厭わずに水際ではし
ゃいでしまった。
ちょっと離れた砂浜では、スキンボードに熱中する男の
子達がいて、由比ガ浜くらい長い砂浜に、10人ほどの人
しかいなくて、本当に本当に美しくも楽しい一時を過ご
せた。
夕飯は地の魚貝をふんだんに使ったコース。
せっかくの魚貝なのに、デビが喜んだのはサザエの釜飯
のみ(笑)
食後、フロントで子供用の浴衣を借り、デビは始めての
旅館浴衣に着替え、お風呂へ。
かなりしょっぱい塩分の濃い温泉に入り、さすがに静か
な部屋で朝までぐっすりと寝られた。
朝食はバイキングをタップリ。
で、帰りのバスが11時前だったので、出発までのんびり
海でくつろいだ。
帰りのバスも貸切状態。
そして、帰りの船も殆ど貸しきり状態だった。
船が出るまで待っていた桟橋ものんびりしていて、「あ
〜休日だなぁ」と。
福岡に戻ってきて、かみさんの幼馴染が働く某高級ホテ
ルへ。
彼女には7年前にも会っていて、その時はかみさんと彼
女が会っている間、福岡空港でマッサージしてもらった
のを覚えてる。
今回は本当に勤務中のお昼休みの時間だけ。
ホテルに着くと、あらかじめお店&個室を抑えていてく
れていて、ゆっくりと再会ができた感じ。
お土産用意していったのに、倍くらいお土産もらっち
ゃって、しかも高級中華のお昼をご馳走になってしま
う始末。
年内に東京に来るとの事なので、手料理でお礼がしたい。
ホテルを出る頃、叔母から電話が入り、空港まで見送り
に来てくれるとの事。
空港で待ち合わせると、両手一杯にお土産を持って待っ
ていてくれた。
帰りの飛行機でも途中まではデビも好調だったんだけ
ど、下降を始めてしばらくすると火が着いたように泣
き始めた。
耳を押さえていたので、気圧のせいみたい。
あんまり激しく泣くので、キャビンアテンダントのお
姉さんも心配して見に来るほどだった。
耳腔内の気圧と外気圧の差分によって鼓膜が圧迫され
て痛む、と考え、同然ながら気圧が一致すれば症状が
改善、または解消されるはずで、気圧を一致させるに
は、耳腔と外気の空気の流通を促してやればいいわけ
で、とか考えて、駄目元で痛がっている耳を口で覆っ
て、ちょっと勢いつけて吸ってみた。
すると、ちょっとして泣き止んだ。
効いたのか?
こんなので効くのか?と半信半疑だったけど、デビは
落ち着いた、というか甘えた様子でかみさんの胸に顔
を押し付けて黙って外を見ている。
効いたんだなぁ、と自分で勝手に悦に入りながら無事
着陸。
羽田にはうちの両親が迎えに来てくれていた。
正直疲れていたので車で来てくれたのは感謝感激。
首都高がひどい渋滞だったので、取り敢えず実家に寄
って晩御飯をみんなで食べ、車を借りて3人でうちに
帰った。
さすがにデビは疲労困憊で、翌日から熱を出してしま
った。
親の都合で色々連れまわしてごめんなぁ、と、残りの
夏休みは看病と、治ったものの甘えん坊になりきった
デビの相手で終わった。
でも、ほんと充実してた。