5歳38日目と233日目 第九!!

先日、仕事上のお付き合いのある方から御招待いただき、
東京オペラシティーで東京交響楽団演奏の第九を聞く機会
をいただいた。
某企業の御祝いを兼ねた演奏会だったので、一張羅のスー
ツを着て、仕事を定時に切り上げ超特急で京王線の初台に
向かった。
初めてオペラシティーに行ったんだけど、それはそれは大
きな設備で、エントリー自体が期待感を高める作り。
大ホール入口に入ると、その企業関係者が社長以下ずらり
と並び来客へ挨拶していて、恐縮しながらお土産をいただ
きホールに入った。
周りは比較的年配で落ち着いた人が多い。
席は1階の結構良い席で、題名の無い音楽会にもしょっちゅ
う出ているというコンサートマスターの顔も良く見える。
指揮者もかなり著名な人らしいが無学が故に知らない人。
2部構成になっていて、1部はヘンデルの「水上の音楽」と
言う、僕も結構そここで耳にしたことのあるメジャーで聞
き心地の良い曲。
ヘンデルという作曲家はドイツのハノーファ(ハノーバー
にいた宮廷楽長だったとの説明を読み、出張でハノーバー
に行った時の思い出がよぎる。
こうした知識を持って訪問するのとしないのでは、まるで
印象が違うので、「あ〜この事実を知って行っていればな
ぁ」といつも感じる後悔をここでも感じてしまった。
何楽章かあるうち、メジャーな4楽章ほどの演奏で、20分
程度で終了。
1部が20分で終わったので、休憩を挟んでも1時間ちょっと
で終わるのかなぁと思ったらこれが甘かった。
休憩後、司会の女性が第九の概要を話し始めるが「全4楽章
からなる60分を超える楽曲となっており」との説明があり、
心の中では「え〜!もう腹減っちゃったよ〜」とか思ったも
のの、それだけジックリと名曲を聞くことができる機会は
なかなか無いので、気合いを入れて演奏開始を待った。
第一楽章ののっけから聞いたことのあるメロディーが流れ、
一気に気持ちが盛り上がる。
が、それぞれの楽章の長い事。
第一、第二楽章はそれぞれ聞いたことのあるメロディーに
癒されるが、第三楽章は殆ど聞いたことがない。
が、それはそれでCDを聞くのとは違うライブ感に癒される。
第二楽章が終わったところで、ステージ最後部のひな壇に
合唱隊が入場してきた。
これでもかという人数が静々と入場し、恐らく200名近くが
壇上に上がる。
その後にソリスト4人も加わる。
で、第三楽章が終わり、いよいよクライマックスの第4楽章
これものっけから聞き覚えのあるメロディーで始まり、や
がて男性バスのソリストが歌いだす。
ここで軽く鳥肌が立ち、その後男性合唱団との掛け合いで
ブワ!と首筋まで鳥肌。
人の歌声とはかくも迫力があるものか。
やがて盛り上がってきて、例の大合唱。
もう、腰から上全部鳥肌って感じで、思わず目をつぶって
しまったほどだった。
世界中の人達に愛され、感動を与えてきた音楽、しかも生
の演奏に全身を包まれて、全ての意識が飛んでしまうよう
な・・・
とにかく、滅多打ちにされた感じで、終わった瞬間、猛烈
に拍手をしながらも、脳は麻痺しているような。
会場を出て、帰りの電車に乗った瞬間にドッと疲れが出て
来てフラフラになって帰ってきた。
そっか、映画「アマデウス」の中で、モーツアルトの曲に
対して皇帝が「音が多過ぎる」と表現した意味が何となく
分かったかもしれない。
そっか、圧倒的な音楽に身をゆだねるというのは、非日常
的で感動的である分疲れるんだ。
帰ってからもかみさんにロクに感想を伝えることもできず
に、まるでふて寝するように寝てしまった。
でもいいなぁ、僕もあの壇上で思いっきり歌ってみたいな
ぁと心から思った。
第九を生で聞いたことのある人は十中八九思うんじゃない
かなぁ。
第九を聞いた翌日の朝、かみさんからデビが僕に会いたい
と泣きそうになりながら寝ていたと聞いて、絶対デビにも
第九を生で聞かせてやろうと思った。